2005年7月5日火曜日

ちょっと早いが年賀状市場を占う その4(最終)

オンデマンド印刷が印刷業界に変革をもたらす
・着実に成長するオンデマンド市場
印刷業の世界4大展示会の一つである1993年9月にバーミンガムで開催されたIPEXにて衝撃的なデビューをした「E-Print1000」は、当 時、誰もがなし得なかった商業印刷向けの無版カラーデジタル出力機として、世界中のこの分野の人々に新時代の訪れをはっきりと認識させる幕開けであった。 1台金額にして6000万円。アメリカの宇宙開発で有名なNASAの元スタッフにより、イスラエルのメーカーが数々の特許をもとに製造された衝撃的なカ ラーコピーのお化け。あれから、12年。E-printが毎分17枚だったのに対し、近年のゼロックスの能力は60枚機が一般的であり、スピードのみなら ずイニシャルコスト(設備導入コスト)も1/3以下である。弊社も昨年e-printからゼロックスにシフトを終えた。

オンデマンド印刷機が提案型営業の代表選手ともてはやされ、その能力と価値を見出すのには多くの時間を費やしている。オンデマンド印刷の定義とは、「必 要なときに、必要な量を、必要な人に」。この3拍子を実現できる夢の印刷市場は、本来多くのビジネスチャンスと、創造的市場を創出する予定であった。

年賀状の製造方法といえば、昔からのオールドスタイルである。生産性を追及するためか、大量に生産して、大量に在庫をして、そこに刷り込んで出荷してい く方法である。従来の設備を生かせるため、製造方法を変更しない会社がほとんどで、発展していないのが現状である。

オンデマンド印刷の定義に対し、オンデマンドの有効的活用は、「少ロット、多品種(バリアブル印刷)、自動組版」などが挙げられる。年賀状はいわば、オ ンデマンド印刷のためにあるような市場といっても過言ではない。これらの特性を生かして、何百種類のカラーを生かした豊富なデザイン数、また、一枚づつ注 文が出せるサービスとか、仕上がりイメージが注文時に確認できる、など我々印刷業界の技術力を生かした提案型がクライントから要求されています。

コンテンツをいかに調達するかが課題
・ハード(設備)を持っただけでは、クライアントは満足しない
昔のように機械を購入すると仕事がついてきたという時代は終焉だ。問題は、その設備を生かすために、どうコンテンツなどのソフトウェアを充実させるかが 重要である。インターネットなどコミニュケーション手段が発達すると、そこに様々なコンテンツが登場する。携帯電話にしても、多くの若者が電車男のように 絵文字を使い、「うれしい!」を「(^O^)」と表現する。つまり、携帯電話はあくまでも手段や道具であり、それを使用していかにどうコミニュケーション をとるのかが重要である。

年賀状についても同様であり、近年の傾向として、友人に差し出す年賀状、上司に差し出す年賀状、彼女に出す年賀状というように使い分けて差し出す傾向に ある。昔のように同じデザインに自分の個性を主張するのではなく、相手のことを考慮しながら個々人を主張する謙虚でかつ多様な時代を象徴する傾向が年賀状 市場に現れている。

プリプレス・センターでは、今年「楽々セレクション」というASP型で豊富なデザインを自由に使えて、使用した分のみを課金する新しいサービスを開始す る。組版とデザイン使用料、販促品がセットになって、組版知識がなくても年賀状データが完成する。しかもプレビューで確認が同時にできるから事故が少な い。年賀市場の準備に相当な時間と経費をかけていた従来のワークフローにサヨナラだ。

これからは若い世代の時代。だからコラボレーション。
時代が急激に変革する中で、私たち若い世代が時代の先鞭を築き、市場を創出していかなければ印刷業界の明日はない。年賀状市場は確かに古くて、マイナス のイメージが強い。しかし、その既成概念を覆し、全く新しいカード市場として新時代を築くことができるのはやはり我々若い世代の役割ではないだろうか?
(日本印刷新聞7月号への寄稿分より)
2005年07月6日(旧楽天のブログ サイトより転記したものです)

0 件のコメント:

主催者や参加者の満足度を上げるために 「なぜSDGsの視点が必要なのか?」(上)

MICE JAPAN2月号 に寄稿しました 長文ですがお読み頂ければ幸いです 株式会社プリプレス・センター 代表取締役 藤田靖 (グリーン購入ネットワーク代表理事 他) 近年SDGsの普及とともにMICEにおいてもサステナビリティが叫ばれるようになりました。この度は紙面をお借りし...