利用する・利用される側のみの関係から、「発信する・発信を利用される」(ちょっと日本が変ですが。。。)という受動から能動へのシフトが今、本当に必要と感じる。
今年のテーマは「情報デザイン新時代」。
主催者の狙いは下記のメッセージとして発信されている。
印刷業の中で勝ち組or 負け組をあえて区別をするのもどうかと思うが、勝ち組の中には紙の印刷に特化して徹底的に効率化を図り、ビジネス的に成功している会社も少なくない。少なくないなどと言ってはお叱りを受けてしまうが、印刷出荷額の低下傾向を考えればどうしても椅子取りゲームになってしまい、勝ち組がいるということは、多くの負け組がいるということの裏返しでもある。
印刷業ができること(印刷業の得意分野)を再度考え直してビジネスそのものを再構築しなくてはいけないというのが「2009 年のゼロリセット」「2010 年の新生グラフィックビジネス」というテーマの真意だった。2011 年はもっと具体的にやること、印刷業界の仕事とは何なのか?を問いかけ、その答えが「情報デザイン」というキーワードに集約されたということである。
デザインという言葉は便利だが、ここでは文字通り「情報をデザインする」「コミュニケーションをデザインする」という意味も含まれている。素人がデザインしたものと一線を画する高品質が、プロである印刷業には当然望まれている。そのうえ電子書籍時代になり、情報というものが3 次元4 次元的になれば、情報デザインの重要性はますます重くなってくるのは言うまでもない。
しかし「~も」とわざわざ断わったからには、デザインという意味にもっと広がりを持たせているというのは想像いただけたのではないかと思う。デザインの語源はデッサンdessinと同じく「計画を記号に表す」という意味のラテン語designare だ。つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することである。日本では図案・意匠などと訳されて、単に表面を飾り立てることによって美しくみせるイメージがあったが、最近では語源の意味が広く理解・認識されつつあるようであり、 PAGE2011 のデザインは「問題を解決する」という意味を含んでいる。
情報を伝達するビジネス、そこに関係する問題を解決してこその印刷業であるという認識、そして電子書籍元年といわれている今こそ、情報デザインの新時代に突入するという気概を込めたテーマ「情報デザイン新時代」である。
印刷会社が儲けるための方向性とは印刷業の場合、情報をより効果的にデザインして伝えなくてはいけない。その技術が紙を対象に発達してきたのが印刷だが、軟包装や建材へとその対象物を拡大してきた歴史がある。その過程で関連する技術領域が広がり、新しい領域のビジネスを生み出してきたのである。代表的なものを挙げれば、高精細画像再現技術がプリント基板やフォトマスク、IC 産業に生かされているのは周知のことである。
こういう他産業への事業展開が多いのも印刷産業だが、印刷の周辺にアセッツ技術を生かしてデータベースビジネス、文字組版・タグ知識を生かしてWeb ビジネス、レタッチ技術を生かして電子書籍アルバム等の画像ビジネス、企画力と総合力を生かしてセールスプロモーションビジネスへと参入できている。印刷周辺に発展できるビジネスは決して少なくない。そしてiPad に代表される電子書籍旋風である。印刷産業がこの影響なしにやり過ごせるわけはなく、防御するよりむしろ電子書籍ビジネスに打って出る方が得策といえる。その方が紙ビジネスも広がるというのは、IT 革命で得た教訓といえる。
と主催者は、熱く語っている。
海外でデザインとは、「設計」を意味する。
「情報デザイン」については情報を「どう処理、加工し、発信するのか?」
といった「設計」の意味合いのほうが強いかもしれない。
情報デザインについて一級建築士を多く育てたいものだ。
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