2011年5月2日月曜日

日本の印刷4月号 被災地からのレポート(気仙沼市) パート2

印刷工業組合に加盟している企業には、「日本の印刷」が毎月届けられているが、4月号の有限会社阿部印刷さんの被災レポートは生々しく、そして本当に同じ業界としていたたまれない気持ちになりました。レポートの最後には、
1.社員さんの休業補償の手続き
2.11日分の給与の支払
3.仕掛品の継続制作
4.得意先復興の行方
5.制作拠点を立ち上げる
を次のステップとしてあげおりました。

青森県印刷工業組合のホームページに第二弾が掲載されておりました。 http://www.aomori-pia.or.jp/NewFiles/110311/kiko-02.pdf

東日本大震災復興へのPART2
阿部孝市((有)阿部印刷・気仙沼市)
abe0430@cocoa.ocn.ne.jp
東日本大震災から2 週間。被災地気仙沼はいまだ、荒れ果てた風景とがれき・焼けた建物・
津波で流れ着いた魚などの異臭が町を覆っています。
気仙沼市内に98 ある避難所にいまだに15,000 人が生活。ライフラインを絶たれた生活は映画で見た風景そのもので、私もリュックサックを背負って往復3 時間かけて歩いて買い出しに。
営業していないコンビニの前に人混みが。大阪ナンバーのワゴン車があり、ろうそく1 本1,000 円、単3 乾電池1 本500 円、カセットボンベ3 本付コンロ15,000 円、真空パックのカルビ焼肉3,000 円。(ふだんはイオンで500 円ぐらいで売っている)バカにするなと言いたいけれど、この移動悪徳スーパーは2 日間営業し、他の被災地に移った。
次第にスーパーが店頭販売で開き始め、長蛇の列。ガソリンスタンドも一般販売を始めたが、整理券発行で3 時間ぐらい並んでやっと5 リットルしか買えない。他のスタンドでも自分の番にきて店員さんがメーターをチェック、半分ぐらい入っていると断られる。スタンド近くは大渋滞。
電気、都市ガスがない生活は灯油ストーブが調理台。避難所で自衛隊の給水車から水をもらい、夜は懐中電灯でくらし、午後7 時には就寝。朝7 時30 分に避難所に新聞をもらいに行く毎日。自宅の前の小学校校庭がヘリポートになっているので毎日が航空祭。ヘリコプターが来ると家も揺れている。
いつまでこんな生活が続くのかと思っていたらやっと電話・電気・水道が復興し昨日久しぶりに風呂に入った。それだけでインターネットができるようになって、気仙沼の深刻さをYOUTUBE で映像を見る。私の自宅は高台にあるのでひびが入った程度だったが、知り合いの訃報、得意先の倒壊等々を相次いで確認。
グーグルの安否情報で、JPA(日本プリンティングアカデミー)の仲間が私を捜索してくれていました。そして全国から激励のメールが届きました。全印工連の水上会長や青森印刷工業組合の三上
理事長、JPA 浜学校長、高畑先生、JPA 同期生、JPAOB 他本当にありがとうございました。JPAOBNET を介して、車両、PC 等の機材や義援金提供を準備してもらっています。
本題です。
皆様からの助言を頂き、いま自分に何ができるか。何をしたいのかを考えました。それは阿部印刷復興ではなく、当地気仙沼の復興であること。その一環として当社だけでなく半壊全壊した市内の印刷会社が共有して使える事務所を立ち上げ、事業再建のために活動する会社を印刷業によって支援する。インターネット環境・電話FAX 通信・制作機材を整えたいと考えました。営業部で使用する車両も被害に合わなかった営業車をまとめて共有できないか。と考えています。
幸い当社の2 階は被害に遭わなかったので富士ゼロックスのオンデマンドカラー複合機が軽印刷に使えます。きりっこや大判プリンターも無事です。印刷製本は外注で行えば何とかなるのではと考えています。義援金も事務所設営に使わせて頂きたいと考えています。災害当初、自分のことだけしか考えられませんでした。私の自宅はライフラインが再開されましたが、多くの印刷人はまだ避難所暮らしです。水・泥をかぶった工場は復興不可能と判断するしかないと思います。オーバーホールに見切りをつけてブローカーとしてではありますが、印刷物制作業務を再開できればと考えております。明日にもがれきの片づけをしている印刷会社をまわり、この事業を説明したいと思っています。
皆様のご意見をお聞かせ下さい。今も地震で揺れています。
福島をはじめ、東北印刷人の皆様みんなでまちを復興しましょう。
平成23 年3 月28 日
自宅にて


0 件のコメント:

主催者や参加者の満足度を上げるために 「なぜSDGsの視点が必要なのか?」(上)

MICE JAPAN2月号 に寄稿しました 長文ですがお読み頂ければ幸いです 株式会社プリプレス・センター 代表取締役 藤田靖 (グリーン購入ネットワーク代表理事 他) 近年SDGsの普及とともにMICEにおいてもサステナビリティが叫ばれるようになりました。この度は紙面をお借りし...